2008.08.01

3月1日、二歩先は真っ白のスモークで、赤や緑の光が空間を染めてあっている。
静岡のブリストル、両替町RAJISHANでBOOMBOOMBASHのパーティー、DUBSTRACT。夜が濃くなる午前2時3時、まだ寒さの残る街角の小箱で轟音を鳴らし、モクモクに煙ったフロアをドープな色に沈めていたのは、ゲストDJに迎えたKASAI a.k.a cut-sigh。
Audio Activeのギタリストとしてその名を全国の葉族に知られ、昨年はDRY&HEAVYのサポートとして浜石まつりにも登場。それこそ浜石まつり以来、久々の再会を果たした我々インタビュー隊は、DJ後のカサイ氏とおつかれの乾杯をし、近況を聞いてみた。
久しぶりの静岡ですね。
今回はBOOMBOOMBASHとは違うハコ(RAJISHAN)に、DJで来てもらいましたけど、どうでした?
KASAI:いやー、良いトコロでしたね。想像してたより全然良かったなぁ。東京でも最近じゃああいう所は行かないですよ。
RAJISHANはダブ好きだったり、デッドヘッズだったり、テクノだったり、けっこう濃い人達が集まるところなんですよね。でも、わりと普通の人も気軽にのんでたり、客層も幅広いんですよ〜。
カサイさんは一年ぶりぐらいですね。去年、ブンブンに来てますよね?
KASAI:そう、そう。ソロライブやりましたね。フリーキーマシーンのケンゴ君も来たりして。ああ、そう考えると、あれからだいぶ変わりましたね。
変わったというと?
音楽的に??
KASAI:そうですね、LIVEの感じも変わりましたね。生活も、より音楽にドップリみたいな。
LIVEでいうと、前はPCを使ってましたよね?
KASAI:そう、使ってたんだけど、最近もうそれも面倒くさくなって。(笑)
今はもう、アコギとエレキを持ち替えながらやってて、もうギターだけでいいやみたいな。まぁ、面倒くさいっていうか、、、だいたいマックに録ってはいるんだけど、打ち込みとかまでやりだしちゃうとキリがないから。(笑)
それは誰か別の人にお願い、みたいな?
KASAI:いや、基本的には全部一人でやりたいんだけど、エネルギー的にキツイっていうか。もうギターで消耗しちゃうから。(笑)
今日はカサイさんが静岡に来た中で一番疲れてたよね??(笑)
初めてのときは昼間から来てて、すごい元気だったもん。
KASAI:そうでしたっけ?(笑)
あの時はGOMAちゃんとKenji Jammarともやったよね~。
KASAI:そうでしたね。あの時はソロでやるのも初めてだったかな?
アレもほんと偶然というか、ノリというか、流れ(笑)で決まったブッキングでしたね。
確か、AOちゃんとカサイ君でDJでブンブンに来て、で家に泊まった時に、部屋でたまたまKenji Jammarかけて、「今度やるんだよね~」って話してて。
で、一緒にどう?みたいな感じだったよね。
GOMAちゃんとのsetでアレはサイケだったなぁ~!
一同:ハハハッ!

ディジュリドゥとやったのは??
KASAI:初めてでしたね。あの時も面白いことやろうとしてたなぁ。
まぁ初めてっていうか、人前でやるのはね。Audio Activeのスタジオが近所で、遊びでセッションしたりはしてたんですよ。まぁ、なんか作品を残しとけばよかったですね。これからかなぁ?
アレが3、4年前だよね?
ちょうどその時期ぐらいから他のアーティストとやってみたりとかソロで作品を作ったりとかしだした感じですか?
KASAI:そうですね。やっぱり他人のマネージでやってたら何も出来ないじゃないですか。で、自分の事は自分でやって、、、も、、、上手くいかない!みたいな。(笑)
(笑)まぁまぁ、でも今ソロのアルバムをレコーディングしてるんですよね??
KASAI:もう終わってるはずだったんですけどね~。(笑)でも何曲か出来てるんですよ。今日もDJでかけたやつの3分の1は俺の曲。
あ、それっぽいのはありましたね!
KASAI:結構、自分だけだとわかんなくなっちゃうんですよね。まぁ曲作りも自分が「すごい!」って思えば終われるんですけど。そこまでいかないと作業が終われない。
その「すごい!」って思える地点ってどういうところなんですか?
カサイ君の“これでヨシ”ってラインはホントわかんないよね。
KASAI:う~ん、なんだろうな。例えば、他人の音楽を聴いてても、単純にすごいって思う時あるじゃない?
それが自分の曲を聴いてそうなる時だね。たまに「俺って天才なんじゃないか!?」って本気に思うときありますよ。(笑)まぁでも結局、思い上がりなんですけどね。思い上がりでずっとやってきてるんで。(笑)
そうじゃなきゃ出来ないっすよね~!
KASAI:でも、思い上がってるのも、ずっとそれで続けてると、たまに「アレ?もしかしたら本当に結構すげぇかもなぁ」って自分で思ったりして。(笑)たまに、家で自分の曲を聴いてて、、、なんていうか、怖くなっちゃっう時もある。俺だからなんだろうけど、心臓が止まりそうになって、聴いてられなくなったりとか。
そ、それはどういう意味で??
KASAI:うーん、何ていうか、自分の曲だから、その音に込められてるモノが自分でよく解りすぎちゃうというか、スゲェヘビーなモノなんですよ。でも、それはすげぇ良い曲だと思ってますけどね。
そうですよね。それだけの影響力を持っているって事ですもんね。
KASAI:そう、俺にとっても自分のつくってる音楽が一番影響力のある音楽だと思う。そういう曲を仕上げていくのはエネルギーも時間もスゲェかかる。今のところ終わってるのは7割ぐらいかな。曲自体は出来てて、後はどう仕上げていくかってのが結構あって。だいぶ昔に作った曲もあるから、そういうのって、自分で飽きちゃうんですよ。もう聞きたくない!みたいな。でもそれって俺の中だけの事で、その辺の見極めが難しいですね。
例えば、2、3年前に作った曲とか、ファイルも奥のほうに埋もれてたりするようなのを久々に聞いてみると、それが意外に良かったりして。でもそれをやってると時間がかかりすぎる。なんだかんだ言っても、忘れない曲は絶対忘れないんですよね。だから結局そういう曲を進めていくようになる。
なるほど~。ちなみにリリース予定は決まってますか?
KASAI:5月末ぐらいかな。ジャケットのデザインとか、そういうところまで全部自分でやるつもり。
楽しみですね!ソロ活動以外でもバンドも始めるって話を聞いたんですが、どんなバンドになるんでしょう?ロックですか!?
KASAI:う〜ん、言ってみればロックですね。まぁ、そこは普通ではないことは確かですけど。
ダブの要素が入っているとか?
KASAI:うん、それは自然に入るね。ミックスまでやって曲作りっていうのが身についちゃってるから。
ソロとバンドとやって、「どっちがどう。」みたいのはあります?
KASAI:バンドの方が楽!もちろん大変なところもあるけど、人に任すって部分が必ずあるから。一人の場合は楽しようと思えばいくらでもできちゃうからね。でも、そうはやれない。そういうところが逆に大変。後は、ライブかな。バンドでライブをやりたいですね。一人でもやるんですけど、アレはすぐ自分の世界に入っちゃうから、あんま人前でやるもんじゃないなぁって、、、(笑)
昨年はDRY&HEAVYにも参加してましたよね?浜石まつりはもちろん、サンセットや他の所でも。
KASAI:ドラヘビも面白いですよ。まぁレゲェ好きのお客さんからすれば、「何だ?あのギタリスト??」って感じだと思いますけど。(笑)もちろん俺もレゲェ大好きですよ。大好きだけど、それとやるのとはちょっと話が別。なりきって「レゲェでーす!」って感じじゃないから、俺は。
そうだよね。浜石まつりの時も見てて思ったけど、あんなレゲェのギタリストいないもん。
やっぱり、ロックな感じが凄いするね。それがまたカサイ君らしくてイイんだけど。
KASAI:まぁ、何やっても同じだと思いますよ、あのスタイルは、、、アレが俺なんで。
世間一般からのカサイ君のイメージは、やっぱりAudio Activeのギタリストってのが強いと思うんだ。でも実はビートルズが好きだったり、その昔は地元長野で一番のギタリストになってやる!なんて頃もあったって聞いて、すごい意外だったんだけど。
KASAI:アハハッ! そんなに意外ですかね?まぁ負けず嫌いなんで、他人よりも上手くなりたいって気持ちは小さい頃からずっとありましたね。
ここ最近はドラヘビをはじめ、TENGAKU DUBやFREAKY MACHINEなんかと一緒にやったりと、活動の幅も広がってきているように見えるけど、その辺はどうなの?
KASAI:そうですね。広がってんだか偏ってんだか良くわからないですけど。(笑)まぁ、もっと広がっても良いと思ってますね。今、バンドとは別でもう一つ新しいプロジェクトを始めていて、静岡在住のJemapurっていうアーティスト知ってます?
はい、デビューアルバムは全国的にも話題になりましたよね。
KASAI:その彼と二人で、Delmakってユニット名でアルバムを製作中です。リリースは10月予定かな。これからですね。
「これから」。なんだか、今年はソロといい、新バンドといい、他アーティストとの絡みといい、凄いことになりそうですね。今までの分が一気にドカーン!みたいな??
KASAI:うーん、やっぱどんどん吐き出していかないと、自分がキツクなっちゃうんで。もうギターは14歳の時から弾いてますからね、今年で25年ですよ!?だいぶ時間がかかりましたけど、そろそろですね。(笑)

ー轟々とザラついたギター音の反復の中に潜む青い静けさ、痛みを汲んだ深い河の流れ、5月に七沢のまつりで聴いた彼のソロライブでは、そんな印象を受けた。聴いている音は爆音なのに、心の中はえらく静まり返って、張り詰めている何かが膨張していくような、そんな音楽だった。
独特の柔らかさを持った会話からは、ふざけ半分の笑い話の中にも、アーティストとしての揺るがない強い意志と自身が垣間見える。
「生きる=表現する」とするならば、彼はギタリストという生き方を命がけで表現しているように思えた。
そうやって生み出され、残されていく作品集となるソロアルバム、そして新バンド、今後の彼の生き様を楽しみにしながら、朝方の街角で後姿を見送っていた。
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